IR関連 IR実施法案審議入り

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案は5月22日午後3時過ぎ、衆議院本会議において、石井啓一大臣(国土交通)からIR実施法案の趣旨説明。鈴木馨祐議員(自由民主党)の質疑を受け、安倍晋三首相は、法案の決意を表明した。IR施策は「観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれる」一方で、「カジノ施設の弊害を心配する声もあるところから、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制、広告・勧誘規制など重層的かつ多段階措置を講じているところです。世界最高水準のカジノ規制を的確に実施する事としている。魅力ある日本型IRを実現するために、関係政省令の整備や世界最高水準の規制の執行体制の整備等を多術に実施し、依存症対策 などの課題に万全の対策を講じながら、世界中から観光客を集める滞在型観光を進めてまいります」と答えた。

阿部知子議員(立憲民主党・市民クラブ)は、IRの首相決意に疑念。一部の利益が国益とは言い難いとして、まず加計疑惑を晴らすのが先決とした。森田俊和議員(国民民主党・無所属クラブ)は、権力の私物化を懸念。IRではカジノの違法性阻却の正当性、カジノ管理委員会の権限・人事権の集中など改めて問い、拙速な採決判断をけん制した。遠山清彦議員(公明党)は、IRによって様々な経済課題が活性可能となるとして、ギャンブル等の依存症対策の更なる強化を求めた。もとむら賢太郎議員(無所属の会)は、権限集中するカジノ体制に忖度疑念があると、誠意ある首相姿勢を問うた。宮本岳志議員(日本共産党)は、IRでも更に首相に権限が集中する事から、IR審議の前に忖度問題を問いながら、カジノを合法とする詭弁は前代未聞の悪法とした(安倍首相は、IR推進法が成立した事を受けた対応とした)。串田誠一議員(日本維新の会)は、IR推進とギャンブル依存症は車の両輪と位置付け。IRにとって、カジノは必要であり、「パチンコ・スロット」(串田議員の表現)は、コンビニのように日本中にギャンブルが町中ある事が問題と政党的な立場から指摘。安倍首相は、「ぱちんこ等への依存症対策については、しっかりと講じていく事が肝要。政府として出玉規制の基準等を見直すとともに、営業等の管理者の業務として依存症対策を義務づけるなど、ぱちんこ等への依存対策に取組んでいるところです。(ぱちんこ)業界においても、依存問題を抱えている人等への相談対応が実施されており、こうした取り組みが肝要と考えています」と答えていた。質疑は約2時間だった。

政局として、2019年には統一地方選挙、参議院選挙が予定されているところから、IR実施法案は早期の対応が迫られているという。政府与党は5月23日の衆院内閣委員会で同基本法案を審議入り、依存症対策法も含め、国会延長も視野に今国会中に採決したい考え。