一般社団法人 日本遊技関連事業協会(西村拓郎会長)の中部支部(東野昌一支部長)は9月17日、名古屋ガーデンパレスにおいて、支部セミナーを開催。「伝統を守りながら、変わり続けることの重要性」について、「世界の山ちゃん」を展開する(株)エスワイフード(愛知県名古屋市)の代表取締役、創業者・山本重雄氏の妻である山本久美氏(写真)を招いた。
2016年8月に59歳で急死した創業者・重雄氏に代わり、同社の経営トップに就任した久美氏。専業主婦だった久美氏が、手羽先居酒屋「世界の山ちゃん」を展開するエスワイフードの代表に就任したのは49歳の時。「社長はあなたがやるしかない」「判を押すだけでいい」と周りから言われ、M&A(合弁・買収)も頭をよぎる中、夫が創った会社を一緒に育てた仲間で守りたいと、中途半端に関わるのは嫌、「経営者として全力を尽くす」と一念発起した10年間を振り返った。カリスマ創業者の頭の中にあった理念を明文化し、社是「立派な変人たれ」、立派な人間になる、明るく元気にちょっと変を掲げ、行動指針を社是にまとめた。進む方向性を全員で共有できたことで一致団結でき、事業の継承・拡張やコロナ禍など危機を乗り越えられたとした。
出会ってから半年ほど経った2000年5月に32歳で重雄氏と結婚、同時にエスワイフード取締役に就任した。店内掲示用かわら版通信の制作を手掛ける以外には同社の経営には一切関わらず、専業主婦に専念。2016年、夫の急逝に直面した時、訃報を載せたかわら版通信を作った。その時、「経営者として全力を尽くす」と事業の継承を誓った。
最初にとりかかったのが、①「利益をつなげる(無駄を省く)」②「組織の見直し(営業、企画、管理、総務などのチームをつくって適材適所に配置し、各自が責任を持って仕事に取り組める)体制」③「理念の作りなおし(立派な変人たれ)」をまとめるなどして、継承初年度の危機を乗り越えられた。その後、既存店の一部でランチ営業を始め、メニューにラーメンを加えた新型店の開設、飲茶店の新業態進出、新ブランド開発などの多角化経営を進めた。
5年が経過する頃、「脱創業者」を掲げた。門外不出の手羽先の販路を拡大させ、創業者が禁止していた「デザート」の商品開発も強化。パティシエを採用し、見て楽しく食べて美味しいデザートを提供することに。店舗内装も今までは、赤提灯が下がる「The居酒屋」だったが、「女性が入りにくい」を一新などで客層の拡大も図った。そして、共同経営者の登用。2020年、コロナ禍の直中、同社の代表取締役社長に木元建一郎氏が就任。仕入れ改革や各種支援金の申請などの迅速な経営判断を行い、コロナ禍の厳しい経営環境を牽引して乗り切ることができた。
最後に、「経営資源においてヒト・モノ・カネといわれるが、私は何よりもヒトだと思う。進化論において生き残るのは、強い者ではなく、その時の環境にたまたま適応(適合)していた者だといわれています。環境は大きな変化はしないもの。小さな変化が積み重なっていることに気づき、対応し続けていくことだと思う。それが伝統を守りながら新たなチャレンジを続けていく会社であり続けたい」と述べた。
その後、リモートにより西村会長が挨拶。東野支部長を中心として、日遊協活動を盛り上げて欲しいと述べた。懇親会では、東野支部長からは、業界として時代のニーズに即したキャッシュレスに力を入れていきたいと日遊協活動への協力を呼びかけ、開宴の挨拶。来賓祝辞では、真城貴仁理事長(愛知遊協)が挨拶し、メーカー親睦団体・名機会の江口博則会長(藤商事・名古屋支店長)の乾杯の音頭で懇親を深めた。

