東京遊協 令和元年度遊技場経営者研修会実施

東京都遊技業協同組合(阿部恭久理事長)は10月16日、東京・中野区の中野サンプラザにおいて令和元年度遊技場経営者研修会を開催。挨拶に立った阿部理事長は、台風15号・19号により甚大なる被害が発生し、被災された方々へのお見舞いと一日も早い復旧・復興を祈願した。「遊技場経営者研修会は今回で17回目となり、組合員企業の経営者が一堂に集う唯一の機会となっております。この場を活用し、東京都の組合員が一丸となり、結束を高めていく場としていきたい」と開催意義を述べた。

阿部理事長は、幼児の車内放置対策、業界の政治的な働きかけ、安心パチンコ・パチスロアドバイザー対応、高射幸性回胴式遊技機の自主規制の4点について理解を促した。
①今夏、厳しい猛暑の中、都内そして全国でも幼児の車内放置事故は無かった。しかしながら、全国では69件91名の未然事故発見があり、都内でも4件の発見があった。10月中旬とはいえ暑い日もあり、今しばらく緊張感を持ってホール周辺の巡回励行を要請。
②今夏の参議院選挙では、おだち候補を応援したが、惜しくも落選した。この業界で働きパチンコホールに従事する人は全国で20万人余といわれている中で、今夏の投票指数を見ると、「まだまだこうした活動の必要性を十分に浸透させる事ができなかった」と述べ、応援した代表として反省しているとした。
③安心パチンコ・パチスロアドバイザー講習会は、これまで30回開催。すでに都内で2999名のアドバイザーが誕生。これで都内約800店舗におおむね3名のアドバイザーがいる数になった。ただ数店舗は無受講でアドバイザーが不在。依存対策についての視察では、昨年はアメリカにおける唯一の民間依存対策機関NCRGの関係者と意見交換。今年は、カナダの政治・経済の中心となっているオンタリオ州、アメリカのマサチューセッツ州においてカジノ関連(依存対策機関)を訪問。お客様が安全安心にご遊技いただけるような環境づくりに更なる協力を要請。
④6号機の保通協適合が予想以上に少ない状況により、遊技機メーカー各社には市場に十分な遊技機の供給が進まない状況から、高射幸性回胴式遊技機の設置比率の自主規制は、延期した状態。「苦渋の選択でした。しかし我々が自ら決めたものでありますので、高射幸性回胴式遊技機を順次削減するという意思をしっかりと示し、間違っても設置比率を上げるような入替えを行う事のないよう、しっかりと進めなければならない内容だと思います」と、一連の業界対応課題の多くが依存問題に起因するものとなっており、しかも対処療法になっているとした。それは、依存問題は、医学的にもまだまだ解明されていない領域とした。そうしたところから、依存と依存症が混同されているからとして、将来的には研究やデータを集めてその実態解明し、世間に正しく認識してもらえる事が根本的な解決の方向とした。現在、青年部会は依存問題について検証中であるとして、その経過を見守っていると報告した。東京都による組合まつりへの協賛は、好評だったところから、本年12月にも開催予定であり、パチンコならびに依存問題への正しい理解につながる活動の一つにしたいと述べた。「これ以上、業界への不信感が広がる事のないよう、組合員一人ひとりが誇りを持って、社会の一員である事を十分に認識してやるべき事を粛々と実行し、信用ある業界に成長する事が最優先」と訴えた。

続いて、警視庁保安課の高橋正樹風俗営業係長が行政講話。ぱちんこ営業が今後も健全な遊技場営業として広く国民から支持されるために必要と考えられる事について、5項目を要請した。
①依存防止対策への積極的な対応について/昨年規則改正により管理者の業務として、依存対策が義務付けされていますので、形骸化する事のないよう実施の事。また4月に閣議決定されたギャンブル等依存症対策基本法に則り、特に広告宣伝規制、旧規則機の速やかな(計画的な)撤去など、遊技環境をより健全なものにして欲しいと要請。
②広告宣伝の健全化について/一部、ライン・ツィッター・ブログなどSNS等を利用し、ぱちんこファンのみが理解している隠語を用い、掲載し、短時間で削除設定する等、規制の目をかいくぐる者。そこそこ名の知れたコスプレイヤーに来店予約の書き込みをさせる者。また遊技中に従業員が耳元でイベント開催をささやく等、未だに悪質な行為が散見される。ぱちんこ関連のウェブサイトに依頼してイベント情報を発信している店もあるようだが、射幸心をそそるような内容であれば当然違反であり、規制を受けるのは当該店である事を理解していただきたい。指導を受けた場合は適切な対応を要請。
③遊技機の不正改造問題、ならびに無承認変更について/不正改造事犯罪については、業界全体の連携が奏功していると思われるが、管理者や従業員に対する指導・教育を継続して欲しい。遊技機の部品交換の際、届出を受けないケースが散見される。従業員への指導不足が一番の原因と捉えているが、無承認変更という事案を招かないよう、適切な対応を徹底して欲しい。
④暴力団排除について/10月1日、東京都暴力団排除条例の一部を改正した。ぱちんこ営業を含む風俗営業者を特定営業者とし、繁華街を含む地域を暴力団排除特別強化地域として指定した。これによりみかじめ料を提供するなど違反した場合は、渡した側が罰せられますので承知置き下さい。
⑤犯罪の未然防止と防犯対策について/店内における置き引き等、また売上金を狙った強盗事件等、十分に注意して欲しい。不審者の発見、110番通報に加え、店内防犯カメラの設置する他、街頭に向けても同様に設置して、より一層の防犯対策、未然防止に努めて欲しい。

■「IRの影響もあり、業界全体が国民から大変注目を集めているところは、皆様も肌で感じているところでしょうが、その一方で行政処分の件数は9月末までで53件、前年同期比で14件増、36%増となっている。違反内容では管理者講習に出席しない等あり、その取組姿勢に疑問符を抱かざるを得ないケースもある。業界の中において国民との間の最前線に位置しているのが皆様方です。皆様方のぱちんこ営業に対する健全化に対する取組み姿勢そのものが、20兆円と言われる業界全体に良くも悪くも跳ね返ってくると言っても過言ではないと思います。本日の話が皆様の遵法営業の一助になればと切に望みます」と述べた。

その後、吉田和敏氏(日本ボクシングコミッション(JBC)試合役員会会長)を招き「出逢い・感謝・ボクシングのおかげで」と題して、特別講演を開催。吉田氏は、元組合理事を務めた事もある業界人の一人だった人物。一方でボクサーとして活躍した時代、現在はレフリーとして後進の指導にも取組んでいる。講演では、ボクサーの厳しい修行やレフリーの裏話を熱演し、ボクシングの魅力を伝え、ボクシングへの情熱、また、家族との絆など目頭が熱くなる内容だった。

最後に、「心のバリアフリー」サポート企業・好事例企業の募集について(東京都福祉保健局)、「遊技機の共同開発の取組みについて」、「受動喫煙防止に関する動向について」(日本たばこ産業(株))、「新電力の紹介」(ゼネラル・パーチェス(株))、「団体保険の紹介」(ToYou保険サービス(株))、「pp奨学金について」、「都遊協における新台輸送システムご利用のお願い」の報告連絡を行った。

高橋係長

吉田講師

吉田講師から、ボクシングの手ほどきを受け、会場は一体となった