日工組&日電協 スマートパチスロ11月、スマートパチンコ来年3月、スマート遊技機フォーラム開催

全国遊技機組合連合会(榎本善紀理事長/略称:全機連)は7月19日、東京ドームホテル(東京都文京区)においてスマート遊技機フォーラムを開催した。これは5月19日にホール4団体執行部向けに同様の説明会を実施しており、今回初めてホールユーザー層(全日遊連・日遊協・MIRAI・余暇進)ならびマスコミ(業界誌含)に向けて、システム概要について初となる公開説明を行った。直接参加は300名規模、オンライン2700名規模という中でスマート遊技機をアピールした。フォーラムは予定の2時間を超過し、約3時間を要した。ただし、プロトタイプ(試作機)といったリアルな説明はなく、「従来のメダル、パチンコ玉に直接触れる事なく遊技できる」というイメージを前面に出し、遊技産業の未来を夢見た。

主催者を代表して榎本善紀理事長(日本遊技機工業組合・全機連会長)は、スマートパチスロ(11月)・スマートパチンコ(2023年3月)の船出を共に盛り上げて欲しいと呼びかけた。依存対策に資する遊技機の開発に取組んで4年余、遊技ファン、ホール、メーカー含めてWinWinのスマート遊技機にすべく取組んできたとした。また、依存対策含め、デジタル化にも対応させるべく、「未来の架け橋になる」スマート遊技機の可能性を付託した。続いて、兼次民喜理事長(日本電動式遊技機工業協同組合)は、次世代遊技機の船出に際して、様々なメリット・可能性について理解を求めた。その一端として、直近の6.5号機導入による好データを報告し、その先にあるスマート遊技機によるコンビニパチンコ業態も夢ではないとした。

続いて「スマート遊技機の遊技性とコンプリート機能」についてパチンコ、パチスロ双方について説明。
●スマートパチンコ部門(盧昇副理事長・日工組)
①大当り確率の下限を「350分の1」とした。スペック設計の幅が広がり、多様性のある遊技機の開発が可能となる。
②C時短の搭載が可能。今までにない出玉の波を創出する事が可能となる。
③コンプリート機能(著しい出玉の発生を防止するため1日の出玉を制限する機能)は9万5000発(MY)で遊技を停止させる。
●スマートパチスロ部門(大泉秀治理事・日電協)
①2400枚規制の解釈基準がMYから差枚数へと変更の新機能が搭載され、新たに有利区間ゲーム数4000Gが可能となったパチスロ(6.5号機)の遊技性。さらにスマートパチスロは「無制限」(有利区間ゲーム数)。
②コンプリート機能は、1万9000枚(MY)で遊技を停止させる。

○【スマート遊技機から始まる遊技産業の未来】と題して、里見治紀理事(日電協・スマスロ普及推進プロジェクトリーダー)が説明。
「遊技性向上」(稼働率向上)、「依存症対策」(出玉情報を一元管理)、「不正対策」、「省エネ」、「コスト削減」、「感染症対策」、「環境向上」を謳った。そして『ありたい未来』として、「ホール形態の多様化」(コンビニパチンコ、空中店舗等)、「業界全体のデジタル化によるキャッシュレスを含めた利便性」・「運用(申請手続)のデジタル化」、「双方向通信機能(規制上現在不可能なBluetoothイヤホン等)」、「業界DX(オンラインアップデート、ブロックチェーン等)」、遊技業界の新たな未来の可能性を構想した。
○【シンクタンクシミュレーション】
ホールコンサルタントの奥野倫充氏(船井総合研究所シニアエキスパート)「スマート遊技機が転機に。パチンコ業界が目指すビジョン」、同じく稲田剛史氏(矢野経済研究所主任研究員)「スマート遊技機で実現されるパチンコホールの収益改革」と、それぞれホール営業が反転攻勢するには、スマート遊技機を導入する事の可能性を謳い、メリットについてシミュレートした。
○【スマート遊技機は遊技産業の救世主か(パネルディスカッション)】
疲弊したパチンコ業界にとって「スマート遊技機は救世主」になるのではないか!?として、阿部恭久理事長(全日本遊技事業協同組合連合会)、飯塚邦晴副会長(一般社団法人日本遊技関連事業協会)が登壇して、全機連関係者に交じって意見を述べた。スマート遊技機を導入する事により、阿部理事長は、「ホール従業員の負担軽減」、「メダル、パチンコ玉に直接触れる事なく遊技できる感染症対策」、「筐体が軽量化される事に受け入れ易い」としたが、中小ホールも多くスマート遊技機の普及には時間を要するとした。ただ、依存問題においては、止め時のわかる効果が見られる。不正対策の負担等が軽減。環境問題では、玉・メダルがなくなり付帯設備もいらなくなり、遊技機入替えも格段に軽減される事の効果は大きいと評価。「救世主」となってもらうためには、「コスト」の問題があると指摘。遊技機の大型化に関する検討会(設立時)の座長を務める飯塚副会長は、厚生労働省において職業性難聴防止のためのガイドラインの見直しの中でホールの騒音問題があり、その多くがスマート遊技機導入により改善されると予想。スマート遊技機には中長期的な可能性に期待した。

全機連関係者は、未来遊技機委員会を今後も活動を続けていき、テレビCM等広告宣伝に力を注ぎ、普及促進につなげたいとした。榎本理事長は、様々なホールの要望に応えたかったが、規制の制約の中では100点満点をもらえなかった。今回のスマート遊技機は、いろんなヒット機を出せる準備は整ったと思うので、船出を一緒に応援して欲しいと呼びかけた。

最後に、「スマート遊技機」の概要・設置についての紹介映像を流し、江口智明事務局長(一般社団法人プリペイドシステム協会)、小原慎事務局長(一般社団法人電子認証システム協議会)がユニットプレゼンテーションを行った。