【ニューギングループ 「Buy!TOHOKU」プロジェクト】大津波で流失した工場再建を進めるカニ缶メーカーを支援

ニューギングループ(本社/名古屋市中村区)は、東日本大震災以降、被災者復興支援活動を継続している「Buy!TOHOKU」プロジェクトにおいて8回目となる支援を行った。今回は、パチンコ新機種「CR花の慶次」シリーズ発表会開催に伴い、来場者に配るお土産として、宮城県亘理町に工場のあるカニ缶詰め加工メーカーマルヤ水産(株)(本社/宮城県名取市)のカニ缶詰めセット(2缶セット1万セット)を支援する事となった。

宮城県名取市は、震災当時5600人余りの人口のうち1000人を超える犠牲者を出したが、マルヤ水産の本社工場があった閖上地区では800人余が死亡しており、同社を1950年に創業した先代社長(現社長の父親)や工場長も津波によって亡くなっている。更に本社工場並びに倉庫施設などは20メートルを超える巨大な津波に襲われ、全ての施設が消滅。高級カニ缶詰を保管するための重量鉄骨を使用した倉庫も壊滅。重量鉄骨はねじ切られたようになっていたという。また缶詰の加工に使用する数百キロもある機械類は遠く数十メートル以上流されて転がっていた状況。

地震発生時、工場は稼働しており尋常ではない揺れが工場を襲ったという。たまたま通りがかったトラックのドライバーがラジオで大津波警報が発令されていると教えてくれた為にまずは社員らを避難させる事を最優先に実施。幹部らも火の始末などを行った後に避難したが、この地は名取市内から伊達政宗が築いたとされる貞山運河によって分断されており、内陸に向かう為には3本しかない橋を渡る必要がある。また、周辺には高台などもない為に橋は避難する車両で渋滞を起こしていたという。震災発生から数日経ってようやく工場があった場所に行くと、工場だけでなく町そのものが無くなっており、言葉も出ない状況で、保管してあった高級カニ缶なども全て流失し、全身の力が抜けて、残念とか悔しいという感情を乗り越えてしまい、笑いが出るほどの惨状だったという。

マルヤ水産はカニ缶詰専門製造メーカーとして、日本では数社しかない会社の1つ。創業当時は閖上の沖合で「ずわいがに」が大量に獲れていたという。現在は各地から「たらばがに」や「紅ずわいがに」などの原料を調達し、品質にこだわった製品作りを行っており、水産庁より品質が認められ長官賞も授与されている。閖上の本社工場は震災から5年が経過した現在も更地のままで手つかず状態。亘理町にあった第2工場に機能を移しての製造再開となってはいるが、製造機械の新たな調達など困難な課題も多く、ほぼ手作業での製造となっており、生産は以前に比べて激減している。本来の姿にはまだまだ戻っていないが、自治体を含め様々な支援を受けたりしていく中で、工場設備の充実を図り、生産のスピードアップに繋げていきたいと千葉社長は語った。

今回のニューギングループとのコラボレーションについて千葉卓也常務は、きっかけは2014年に商工会議所に入った事でBuy!TOHOKUプロジェクトの岩本実行委員長と出会い、今回の支援に繋がったという。今回のプロジェクトによって、新しい販路が開けたり、新たな業界の方々に知って貰える事が出来る。特にセットする箱のデザインが素晴らしいので、これからも使わせて頂く事ができれば。また、可能であればカニ缶をホールの景品として置いて貰える事ができれば有り難いという。どうしてもカニ缶は年末お歳暮商戦のギフト商品というイメージが強いが、「紅ずわいがに」のほぐし身などはチャーハンに入れたりと年中を通じて手軽に使えるという。

現在の閖上地区は一部土地の嵩上げ工事が進んではいるものの沿岸部に関しては再開発計画などが進んでいない状況の為、本社工場の再建の目処は立っていないが、この地で育ってきた会社として地域が復興し再建出来る事に尽力していきたいとしている。

本社工場跡地は5年経った今でも更地のまま