大阪府(市)は6月30日、大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)での開業を目指しているカジノを含む統合型リゾート(IR)に関する「令和8年度『大阪IR(統合型リゾート)説明会』(第2回)」を、守口門真商工会議所(大阪府門真市)において開催した。これは、府・市民に向け、IRがもたらすプラスの効果や懸念事項の最小化に向けた取組みについての説明会。説明会には約60名の参加があり、令和5(2023)年4月に国土交通大臣の認定を受けた「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下「区域整備計画」という。)」について説明(約45分)し、参加者の質問に答える(約30分)形式となった。
■6月30日説明会での質問要旨
①年間売上の8割を占めるカジノ(ゲーミング)約4200億円、入場料6000円は安すぎると感じる。ギャンブル依存症を抑止できるのか。→納付金・入場料は、ギャンブル等依存症対策(大阪府・大阪市)として毎年約14億円充てる計画。
②南海トラフに巻き込まれたら夢洲はひとたまりもありません。IR建設は中止すべきです。→2023年に国の認定を受け進めているIR事業については、その後も、様々な意見がある。こうした説明会等を通じて、府民の理解を深めていきたい。
③IR来場者は年間2000万人、1日当たり約5万人。その算定の根拠について。→重要な数値であり、初期投資額1兆5130億円という推計であり、これも慎重に精査されていると思っている。来場者数は、IR事業者において、日本の人口統計、訪日外国客統計、海外の既存IR施設、近畿圏内の主要施設などからの知見を集め、推計されたもの。近畿圏では、グラビティモデル(重力モデル)も参考にするなどしている。その妥当性については、毎年モニタリングを実施し、チェックされている。
④ギャンブル依存症対策について、「違法オンラインギャンブル等対策啓発動画『ギャン太郎』」の発信停止(1月28日)の取扱いしたその後について。→啓発動画は、若年層を対象にした教材だった。公開後、内容について指摘が多く寄せられたところから、一旦停止した。医療関係者などの検証を受け、誤解を招かない表現に修正することで、3月再度発信している。
⑤今、大阪都構想が再燃しているが、IR計画の中で都構想如何によってはどうなるのか。→大阪府議会、大阪市議会でそれぞれ協議会が発足した段階であり、IR事業の関係については協議の状況に合わせての対応になる。
⑥大阪・関西万博の時に感じたが、コンセプトが具体化されたのは直前だったが、具体的な時期など公表はいつでしょうか。→詳細については、現状決まっていない。2030年夏頃には施設が完成予定するので、それまでには具体化されよう。
⑦警察力強化(納付金・入場料使途として約33億円)が盛り込まれ、夢洲内の警察署の設置、警察職員の増員等があるが、具体的にどのような警備体制になるか。→夢洲内の安心安全な治安維持について、今後検討会を通して、対策を講じていく予定。
⑧大阪IRに向けた鉄道ネットワークでリニア新幹線の名がないが、どうするのか。また、IR関連企業に阪急の名前がないが。→リニア新幹線については、今後、具体的なルートが決められ、進展すると思われる。「夢洲アクセス鉄道に関する検討会」が開かれており、様々な延伸計画が検討されている。阪急については、IR事業者の関西地元企業を中心とする少数株主22社の中に、阪急阪神不動産(株)がある。
⑨納付金・入場料の使途にギャンブル等依存症対策、警察協力、夢洲まちづくり関連インフラ、消防力強化など、IR開業前から必要な経費だが、それは府・市民が負担しているのか。→必要経費について、令和8年度、5億円余の予算を大阪府・市は、拠出している。今後、基本計画に沿って詳細になってくる。
⑩本来、事業者自身が説明会で理解を促すのが当然であり、IR推進局の担当者の説明では不十分ではないか。→この説明会は、大阪府・市により「IR誘致に向けた地域の合意形成」のためIR推進局で開催している。事業者の参加はない。
⑪IRアクセスについて、車の収容規模を知りたい。→具体的な収容規模は未定。それなりの規模になると思います。
⑫展示施設や国際会議場の規模は、世界に誇れるような規模なのか。→世界と競争できるような規模を目指しており、展示施設2万㎡は当初の規模。事業が始まれば、需要に応じて6万㎡から10万㎡を視野においている。MICE施設は、国内にまだなく大阪IRが初めてとなる。
■概要(前年度同様)大阪IRは、大阪関西万博会場の北側約49.2ヘクタール、延べ床面積約78万㎡。3つのホテル総客室数約2500室(約20%スイートルーム)、6000人以上収容の会議室を有する国際会議場、3500席の夢洲シアター(劇場)、カジノ(IR施設の床面積の合計3%以内・約7万㎡)などを整備する。カジノ施設は、各顧客層(マス、プレミアム、VIP)の属性と嗜好に合わせたフロア配置。来訪者の利便性を考慮して多様な飲食店を各所配置。セキュリティ、責任あるゲーミング、多様な顧客層を惹きつける国際的に魅力ある顧客体験の提供。カジノ事業収益の活用では、「各IR施設の修繕、提供コンテンツの更新・追加等」、「ギャンブル等依存症対策」、「治安・地域風俗環境対策」、「大阪府・市が認定区調整整備計画に関して行う施設への積極的協力」など。
初期投資額は1兆5130億円(税抜き)。事業期間は35年間(延長30年間)、賃料428円/㎡・月額。主要施設は万博「表玄関」の夢洲駅近くに立地。2025年4月24日に起工式が行われ、着々と建設を進めている。2025年の訪日外国人旅行者数は前年比15.8%増の4268万3600人(推計値)であり、大阪・観光産業の集客力のさらなる強化が期待される。
事業者は、MGM大阪株式会社。同社は、2025年5月1日付で大阪IR株式会社から社名変更。大阪府大阪市北区中之島に本社を置く民間企業。中核株主は、合同会社日本MGMリゾーツ(出資割合約44%)、オリックス(株)(同約44%)。関西地元企業を中心とする少数株主22社(同約13%)。年間売上約5200億円(ノンゲーミング約1000億円、ゲーミング約4200億円・約80%)を目指す。
IR区域整備による経済的社会的効果として、IR区域への来訪者数は約2000万人(年)、うち国内約1400万人。国際会議の開催約485件(年)、国際規模の展示会開催約46件(年)。給付金・入場料等の見込みでは、約1060億円(年)(給付金約740億円・入場料約320億円)、これは大阪府・市で均等配分。
■ギャンブル等依存症への取組み
令和8年3月に策定した第3期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画(令和8年~令和10年度)において、令和8年度当初予算額は前年より4億2928万円増の5億6239万円。新規の取組みは、
①(仮称)大阪依存症センター機能とりまとめ(令和6年度)を踏まえ、施設が提供するサービスの具体化に向けて詳細なニーズを調査分析し、同センターの基本計画を作成。令和8年4月1日、「大阪依存症対策センター(仮称)開設準備チーム」(ケースワーカーや保健師、市職員ら13人で構成)を発足。2029年度に大阪依存症センター設置予定。
②京都大学大学院医学研究所や大阪精神医療センターと連携した医師等の確保・養成を推進。
③違法オンラインギャンブル等について、関係部局や市町村等と連携した啓発を実施。

