一般社団法人 ぱちんこ広告協議会(岡林克彦理事長)は、ギャンブル等依存症問題啓発週間中の5月20日、東京・高田馬場BSホールにおいて、「依存問題勉強会」を開催。講師に、公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀特任教授と、特定非営利活動法人東京都自閉症協会の尾崎ミオ副理事長を迎え、PAA会員と全日本学生遊技連盟所属の学生を中心に45名がオンラインとハイブリッドで参加した。
開会にあたり、岡林理事長は、「長年にわたり篠原教授の色々な研究に関わらせていただいていますが、今回はパチンコ業界内外の有識者として篠原教授と尾崎副理事長をお迎えし、それぞれの視点から依存についてのお話をしていただきます。この勉強会が新たな学びの機会となれば幸いです。また、ここで得た知見を、ご参加のみなさまがそれぞれ会社や学校、周りの方々にお伝えしていただければと思います」と挨拶した。
勉強会ではまず篠原教授が登壇し、ギャンブル等依存症の予防を目指す「スマートPLAYスタイル」の重要性を詳しく説明。さらにスマートPLAYスタイルが、認知機能の維持・向上に効果があることを研究データで示した。健全な余暇活動の一つとしてパチンコが存在するために、個人個人が上限金額の設定や時間管理、家族や周囲の人に話すことといった3つのポイントを守ることが重要であることを述べた。続いて登壇した尾崎副理事長は、世田谷区で発達障害や自閉症自閉スペクトラム症、発達障害の方たちのピアサポートを行う「みつけばハウス」の運営を通して得た、生きづらさを抱える若者たちが社会との融合を実現するための解決策について解説。自閉スペクトラム症の当事者が表現する現在の姿・心情を納めた動画を視聴し、発達障害者や自閉症についての理解を深めた。こうした方々への支援は、個人の興味や好奇心を育むことが重要で、コミュニケーションの訓練を強いるより、自然な形での交流を重視することを勧めている。みつけばハウスでは様々な個性を持つスタッフが「みんなちがって、みんないい」という姿勢で、多様性を重視した安心できる場づくりに尽力しているとのこと。予防的に行動や思考を抑制させるのではなく、多様性の枠組みをもっと広げ、“遊ぶこと”が人生に与える良い影響を多くの人が理解していくことの重要性を語った。
また、質疑応答とディスカッションでは、篠原教授と尾崎副理事長に、PAA依存問題PTの大石大氏と、パチ7のハニートラップ梅木氏が加わり、学生をはじめとする会場およびオンライン参加者からの質問を受けた。尾崎副理事長に「遊びを活用した施設を運用したきっかけは?」という問いから、色々試した結果の無駄なことや遊びの要素が必要で、その人がワクワクするようなことがプログラムとなって残ったこと、基本的にはその方が“人生幸せ”と思えるようになるところがポイントで、支援者の枠組みに無理に押し込めるやり方にはどこか無理がくることなどを述べた。また、篠原教授からは、自分自身が作る幸せに対する評価指標などの提案も行われ、遊びと幸せの関係性についての議論が深まった。