財団大遊協 親睦交流会に奨学生OB・大学関係者等も多数出席

公益財団法人 大遊協国際交流・援助・研究協会(高島洋理事長)は12月10日、大阪市中央区のホテルプリムローズ大阪において、奨学金援助を行う留学生やOB、大学関係者等を招いた親睦交流会を開催した。

交流会では(株)くいだおれの柿木道子会長による基調講演や、卒業生による体験発表、女性コーラスグループ「ピュアフレンズ」のコーラスステージなどが行われた。冒頭、挨拶に立った村上昭徳専務理事は、財団大遊協の設立時、5名からスタートした奨学生は現在、年間30名、延べ27カ国地域の372にまでのぼったと報告。日本では現在、訪日外国人観光客数を東京オリンピックが開催される2020年には4000万人とする目標を掲げており、それに伴い多くの企業がグローバル化の波の中にある。「日本の企業から留学生へのニーズが高まり、財団大遊協が支援する奨学生たちもこの3年間、卒業後の進路に関して85%が日本で就職しています。皆様の活躍の場が益々広がっています」と村上専務。世界情勢を見るとテロや北朝鮮のミサイル問題など難しい時代ではあるが、だからこそ国際交流が必要であると述べ、将来は日本と母国をつなぐ架け橋となってほしいと期待を寄せた。

続いて柿木会長による基調講演が行われた。柿木会長は大阪の名物料理店「大阪名物くいだおれ」(2008年閉店)の創業者の次女として生まれ、現在はマスコットである「くいだおれ太郎」を中心としたコンテンツビジネスを行っている。講演では日本の食文化について、特に大阪を中心に東京、京都それぞれの地域による食の好みの違いなどを歴史的観点から紐解いた。柿木会長は、「外国の方に『和食』と聞いて何をイメージしますか?と聞くと、寿司や天ぷら、大阪ではお好み焼き、たこ焼きなどを上げられる方が多い。しかし、我々からすると、それはあくまでも和食というジャンルの中の一品にしか過ぎません。煮物や焼き物、フレンチの様にコース料理(会席料理)もあります」と述べ、和食の特徴として①出汁②季節感③地域差の3点を上げて説明した。特に地域差に関しては、江戸時代に侍が多かった江戸(東京)ははっきりした味、宮中の色が濃い京都は“はんなり”とした味、商人・町人が中心だった大阪は“まったり”した味が好まれるなど、味の好みにも歴史的な経緯があるとし、その違いを受け入れ、楽しむ事が大切だとした。

卒業生の体験発表では韓世涛氏(平成25年/近畿大学卒業)が卒業生を代表して登壇。韓氏は現在、ドラッグストアでビューティーアドバイザーを行っている。店舗において日々、接している来店客とのコミュニケーションの中で、大阪独特の人情に触れる事が多々あると述べ、学生時代、トラブルに巻き込まれたときもアルバイト先の上司も情に厚く様々な面において助けてくれたというエピソードを披露。留学生はアルバイトの労働時間等に就労規定があり、韓氏は知らず知らずの内に規定を超えた仕事をした為、ビザの都合で本国に一旦帰国しなければならなくなった事があったそうだ。その時、助けてくれたのが先の上司だった。その様な事を振り返りながら韓氏は留学生に対し、就労時間はしっかりと守らなければという教訓と共に、勉学に励んで欲しいとエールを送った。