日遊協 厚労省の依存実態調査について理解深める

一般社団法人 日本遊技関連事業協会(西村拓郎会長)は9月16日、本部会議室を拠点に定例理事会を開催。その中で、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題の実態調査」(8月27日厚生労働省公表)について理解を深めた。

午後5時過ぎからの記者会見においても、脳科学者の篠原菊紀氏(日遊協理事・公立諏訪東京理科大学・医療介護・健康工学部門)が、今回の調査結果について評価した。2018年に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づく初めての公費調査「令和2年度 依存症に関する調査研究事業『ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査』報告」について、詳説した。

この研究目的は、ギャンブル等依存が疑われる者の実態と、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪などを含むギャンブル等依存症の関連問題の実態をあきらかにするため、昨年10月〜今年2月にかけてインターネットを使って調査された。一部新聞報道では、「ギャンブル依存の疑い2.2% 厚労省が初の実態調査」と過去1年間で最もお金を使ったギャンブルは男性はパチスロ、パチンコ、競馬の順で多く、女性はパチンコ、パチスロ、宝くじの順と報じられた内容。篠原氏は、説明において根本問題として「SOGS(5点以上)2.2%最もお金を使ったのはパチンコ・パチスロ」の表記について、設問の課題があるとした。その上で、今回の調査は「非常に広範なリスククリーニングの結果にすぎない」と、調査目的を忠実に調査実施した事による最初のものと位置付けた(SOGSはアメリカ精神医学会の診断基準の総称)。

ただし、調査により、いくつかの問題も派生していると、
①ギャンブル等依存を疑われる者にうつ、不安が多い
②本人の責任ではないを普及させたいらしい
③だれでもなりうるも疑問
④自助グループにつながるまで63.1か月
⑤社会的望ましさバイアス、ネット調査問題
について解説した。

篠原氏は、「科学的な根拠(エビデンス)のない発言や施策について適切に対処していく事は重要です。今回の厚労省の発表について細かい注文を業界としてすべきかというと、今までの経緯を踏まえると、調査はしっかりとしてきており、マスコミ報道も過度に解釈するのは一部になってきています」と一定の評価を示した。今後、業界として依存問題に対して補完調査など、継続した調査など進めていく事が大事とした。