全日遊連全国理事会における課長講話

全日遊連は1月24日、第一ホテル東京において1月の全国理事会を開催。その中で警察庁生活安全局の楠芳伸保安課長による講話が行われた。ぱちんこが身近な大衆娯楽として広く国民から評価されるために必要と考えていることとして、手軽に安く遊べる環境整備や健全化に向けた課題などについて再確認する内容となった。

特に等価交換規制の遵守が徹底されていない風潮が蔓延することに対する危惧が表明され、風営適正化法における「等価交換」について、営業者が客に対し賞品を提供する際には、客が遊技により得た遊技球等の数量に対する金額と等価の物品と交換しなければならない(市場価格に基づく適切な賞品提供の徹底)こと、との認識を徹底するよう促した。

以下、全文掲載

ただいま御紹介にあずかりました保安課長の楠でございます。

皆様方には、平素から警察行政の各般にわたり、深い御理解と御協力を賜っているところであり、この場をお借りして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
 
さて、昨年を振り返りますと、ぱちんこ業界においては、東日本大震災の被災地に対するボランティア活動を始めとして様々な支援を行ったほか、社会福祉への支援を始めとする様々な社会貢献を行いました。また、依然として社会的な課題となっている節電についても、低炭素社会実行計画による取組など社会の要請と真摯に向き合い、相応の実績を上げたと思っております。

このように我が国における一大レジャー産業として、その社会的責任を果たそうと皆様が御尽力された一年であったと思います。

また、遊技人口が減少傾向にある中、1円ぱちんこに代表される遊技料金の低価格化、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の開発等、遊技客が少ない遊技料金で、安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力が続けられていると思います。

しかしながら、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、健全化を阻害する要因が残されていることも事実です。ぱちんこが手軽に安く安心して遊べる真の大衆娯楽として国民に幅広く受け入れられるよう、こうした問題一つ一つに対し、全日遊連を始め業界が一致団結して、誠実に、かつ、着実に対処していただきたいと考えております。

さて、本日は若干お時間をいただいておりますので、年頭に当たり、ぱちんこが身近な大衆娯楽として広く国民から評価されるために必要と考えていることについて、何点かお話ししたいと思います。
 
まず、手軽に安く安心して遊技ができる環境の整備についてお話しします。

ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2013」によれば、市場規模は9年ぶりに回復し、平成24年は19兆660億円となっておりますが、ぱちんこ遊技への参加人口は、対平成23年比で150万人減少の、1,110万人ということであり、3年連続で減少しています。また、年間平均遊技回数は27.8回から27.4回に減少したのに対し、年間平均費用については、9万3,700円から9万7,100円に増加しており、ぱちんこ営業の売上げにおいて、いわゆるヘビーユーザーへの依存度がますます大きくなっているものと推察されます。このことは、業界がこれまで進めてきた安く安心して楽しむことができる遊技を提供するという方向性に逆行しているのではないかと危惧しているところです。

このため、ヘビーユーザーへの依存を解消することが業界にとって一層重要になってくるものと考えます。皆様の立場で業界の維持・発展を考えたとき、限られた数のヘビーユーザーを1万2千を超える店舗が奪い合うのではなく、今業界が何をしなければならないかを真剣に考えなければならない時期にあると思います。多くの人々にぱちんこ遊技への興味を向けてもらう上で基本となるのは、ポケットマネーの範囲内で適度に楽しんで帰ることができるという身近な大衆娯楽としてのぱちんこ本来の姿にほかならないと思います。そして、その本来の姿のぱちんこを望むファンの多いことは、低貸玉営業が8割を超える店舗に普及しているという実態や一般に4円ぱちんこより1円ぱちんこの方が稼働率が高いと言われる実態からうかがい知ることができるのではないかと思っております。業界がこれまで進めてきた射幸性の抑制と低貸玉営業の普及・定着は、業界にとって意義のあることであり、遊技人口の減少に歯止めを掛けることを見据えた取組であると思います。

現在、ぱちんこ営業者団体と遊技機製造業者団体とが協力して、遊技客のニーズに応えた射幸性を抑えた、幅のあるゲーム性を有する遊技機の開発に力を注いでいると伺っております。遊技客と直接接するホールの意向は、業界の方向性に大きな影響を与えるものです。全日遊連において積極的に問題提起をしていただき、ぱちんこがより健全なものとなっていくことを期待しております。

なお、本来のぱちんこ遊技の醍醐味は、それが遊技である以上、遊技球の動きやリールが揃うか揃わないかに対する期待感にあるのであって、その結果として表示される遊技球や遊技メダル等の数量に対する期待感ではないと思っております。その意味で、遊技そのものの面白さによって、ファンが満足し、また、納得できるような遊技環境を業界全体で作り上げていただきたいと思います。
なお、遊技機の射幸性の抑制や遵法営業の徹底は、短期的には収益を下げる可能性があるかもしれませんが、長期的な視野に立てば、ファンを維持して、社会の中で肯定的な評価の下に業の存続を図るためには避けられないことであろうと思います。各都道府県組合の幹部である皆様にとって、いつまでも健全化が道半ばであるとして、その徹底を求められ続けるのは、甚だ残念であると思います。皆様方のより一層の取組を期待するとともに、警察としても、業界の自主的な取組への支援を行ってまいりたいと考えております。

次に、いわゆるのめり込み問題への対策についてお話しします。

射幸性の抑制に向けた取組が続けられていながら、依然として、ぱちんこ遊技へののめり込みが要因とみられる事件の報道が散見されることは、誠に残念なことであり、このような報道のたびに、ぱちんこに対する国民の視線は厳しさを増すことになります。また、ぱちんこ店の駐車場における児童の車内放置事案についても、依然として発生していることも事実であります。

のめり込み問題に対応する機関としては、全日遊連の支援で設立され、現在では業界全体で支援しているぱちんこ依存問題相談機関「特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワーク」があります。リカバリーサポート・ネットワークでは、平成18年4月の設立以来、1万件を超える相談に対応しているとのことであり、のめり込みに起因する問題が深刻化する前の段階で改善を図るだけでなく、のめり込みに陥った方の回復という観点からも、有益な取組がなされていると認識しております。

また、一昨年から業界では、のめり込み防止対策として営業所内外における注意喚起・広報啓発が一層強化されており、全日遊連においても、各組合員の店舗において、リカバリーサポート・ネットワークの広報ポスターの掲示が進められております。

その結果、リカバリーサポート・ネットワークへの相談件数は急増しておりますが、これは、ぱちんこ営業の陰で、それだけの人々の相談ニーズがあったにもかかわらず、それが埋もれていたのが、目に見える形で現れてきたということだと思います。つまり、逆に言えば、これらの人々には従前は十分に手が届いていなかったということであり、業界として、自らの産業に伴って発生したのめり込み問題というこの社会的な問題に積極的に関わり、実のある改善につなげていただきたいと思います。リカバリーサポート・ネットワークでの取組は、その重要な柱の一つでありますが、相談件数の急増に伴い、その負担は大きく増していると聞いております。のめり込み問題への相談対応に当たるには、相応の知識、経験が必要となるため、すぐに体制を拡充するのは難しいのかもしれませんが、注意喚起・広報啓発の取組を継続するとともに、リカバリーサポート・ネットワークを始めとする回復支援団体への支援を拡大し、のめり込み問題に悩み苦しむ人々に十分な対応が行き届くようにしていただきたいと思います。

のめり込み問題は、ぱちんこ遊技の負の側面と言われることがありますが、この負の側面にしっかりと取り組むことは、ファンが、安全に、安心して遊技できる環境整備の一環でもあります。引き続き業界全体で真摯に対応していただきたいと思います。

全日遊連におかれては、毎年5月から10月にかけての「子供事故防止強化期間」を中心に、組合員に対して広報啓発を行っていただいております。これにより、各営業所が駐車場内の巡回活動等に取り組まれた結果、昨年中は25件32名の児童車内放置事案を発見されたと伺っております。 

また、5年連続で発生していたぱちんこ店の駐車場における児童の車内放置による死亡事件について、昨年は未然に防ぐことができたのも、各ホールの営業者が、ホール関係5団体で策定したマニュアルを日々の営業の中で活用し、対策を強化したほか、遊技機販売会社団体においても、ホール駐車場の定期的な巡回活動等の取組を継続的に実施したことなどによるものと考えております。

このような取組は、ぱちんこ営業が、真の大衆娯楽として国民の信頼を勝ち取る上で避けては通れない道であり、また、最適かつ最短の道であると思いますので、引き続き、業界における自主的な御努力をお願いします。

次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。

平成20年に20件あった検挙件数は、平成21年が12件、平成22年が6件、平成23年が6件、平成24年が4件と年々減少傾向にあります。その背景として、不正改造情報の収集やこれを生かした不正に強い遊技機づくり等の業界における様々な取組が奏功していることが挙げられます。とりわけ、業界の総意で設立し、業界全体でその活動を支えている一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、立入検査店舗数が昨年末時点で1万8千店舗を超え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、その成果は着実に上がっていると認識しております。また、都道府県方面遊技業協同組合が行っている立入りによっても、不正改造が抑止されていると考えております。

しかしながら、こうした業界団体の取組の一方で、不正改造の手口は一層複雑巧妙化しており、主基板が不正に改造されたり、周辺基盤のROMが不正なプログラムに改ざんされたりしているにもかかわらず、カシメの偽造を含め、その不正の痕跡が巧妙に隠され、非常に分かりづらいものも認められています。また、いわゆるノーマル戻しが疑われる遊技機も散見されています。このほか、釘曲げ等に手を染めて行政処分等を受ける営業者等は依然後を絶ちません。

これらを踏まえると、不正改造事犯はいまだ根強く、相当数存在していると考えられます。また、業界内ではゴト事案として理解されているものの中には、営業所の従業員が関与するケースもみられるところです。このような場合、当該従業員が風営適正化法違反で検挙されるほか、営業者が行政処分の対象となることもあり得ます。

不正改造事犯を防ぐためには、営業者のみならず、従業員の一人一人が自分の働く業界の重要な問題としての意識を持ち、遊技機について日常の点検を確実に実施するなど、強い責任感を持って取り組むことが大変重要であると考えております。

営業者の皆様におかれては、管理者や従業員への指導を徹底し、不正改造事犯の防止に向けた各種取組を積極的に進めていただきたいと思っています。

警察といたしましては、引き続き、遊技産業健全化推進機構と積極的に連携しつつ、厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。

ところで、昨年のこの講話において、前任の古谷から、遊技産業健全化推進機構の立入検査活動について、秋田県内のホールで立入検査拒否事案があったことから、業界の全ての関係者が、機構の存在意義とその活動について確認し、理解を深めていただきたいと申し上げたと思いますが、大変残念なことに、昨年11月にも立入検査の妨害事案があったところです。立入検査を妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に真っ向から背を向ける行為であり、断じて許されるべきものではありません。このような事態が継続して発生していることを業界としても重く受け止め、再びこのようなことが起きることがないよう、ぱちんこ営業者の全ての方に改めて周知徹底をお願いします。先ほどもお話ししたとおり、機構は着実に実績を積み重ねており、警察としては、引き続き、機構と緊密に連携して、不正改造事犯の取締りに努めていきたいと考えています。
皆様には、不正改造が根絶され、客が、安心して遊技できる環境が整備されるよう、遊技機製造業者、遊技機販売業者等と連携した取組を強力に進めていただきたいと思います。

次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点お話しします。

1点目は、賞品買取りの絶無についてです。

風営適正化法は、営業者が客に提供した賞品を買い取ることを禁止しております。これについては、営業者がその遊技場で提供した賞品を買い取る場合はもちろんのこと、営業者が直接に賞品を買い取るものでない場合であっても、営業者がこれに関与していると認められる場合には取締りの対象となります。この賞品買取り禁止規定のほか、都道府県条例により、賞品を買い取らせないことを営業者の遵守事項として規定しているところも多く、これを行政処分の対象としています。

これらについては、皆様は当然御承知のことであり、本来は今更申し上げる必要がないはずなのですが、昨年、某都道府県において、都道府県遊協の主導の下、組織的に賞品の買い取らせを行っていたことが判明しました。これは、都道府県遊協のトップである理事長以下の組合員全員が、風営適正化法の趣旨や度重なる行政指導の内容をよく理解していなかったことが主たる要因であると思っております。第三者を装った景品買取法人の設立を始め、いかなる方法であれ、ぱちんこ営業者が賞品の買取り・買い取らせに関与することは絶対に許されません。

特に、賞品の買取り事件については、いまだ後を絶たず、昨年も、5件の検挙報告を受けております。昨年の検挙報告のうち、某都道府県では、賞品買取りのほか、現金提供も行っていた悪質な店舗もありました。さらに、この経営者は、以前、都道府県遊協の副理事長も歴任していたということですので非常に信じ難いことです。このため、警察としては、いまだ複数の都道府県において、賞品の買取り・買い取らせが根強く行われているのではないかと懸念しているところです。

このように、本来、風営適正化法の趣旨に基づき、ぱちんこ営業の適正化、健全化について各営業者をリードすべき都道府県遊協が賞品の買い取らせを主導していたり、また、都道府県遊協の元幹部が営業するぱちんこ店で賞品買取りが行われていたということについて、今一度、皆様方に認識を新たにしていただきたいと思います。業界をリードする人々がこのような不正に関与していたことについて、一般国民の方は、どのように感じるのでしょうか。まだまだぱちんこ業界は遅れているなと感じるのではないでしょうか。また、一般の方のみならず、業界の営業者に対しても、あたかもそういった不正がまかり通ってもいいのではないか、との風潮を助長することにもなるのではないでしょうか。ぱちんこ営業者自身が、賞品の買取りに関与することは、風営適正化法が厳に禁止しているものであります。営業者がそのような買取行為に加担することはもちろんのこと、営業者がその仕組みを考えたり、論じたりすること自体がそもそも風営適正化法の趣旨に反するということをよく理解し、そのような不正がまかり通るような風潮の絶無を期していただきたいと思います。この買取り・買い取らせの規制は、一般の人から見て、ぱちんこ営業が賭博と一線を画す営業であることが分かるための、非常に重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わるものでありますので、厳格な遵守を改めて徹底していただきたいと思います。

2点目は、賞品の取りそろえの充実についてです。

ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実は、客の多様な要望を満たし、換金需要を低減させるためのものであり、法令上の義務であるだけでなく、ぱちんこが大衆娯楽として国民の支持を受ける上で業界において自主的に取り組まなければならない事項であると思います。

ホール関係5団体は、平成18年に「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」を行っていますが、昨年5月時点での調査結果では、いまだに履行されているとはいえない状況が認められたため、昨年10月、「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実の更なる推進について」と題する通知文を業界に対して発出いたしました。

皆様には、業界で決議した内容を再確認するとともに、他団体と連携して、賞品の取りそろえの充実に不断に努めていただきたいと思います。

3点目は、適切な賞品提供の徹底についてです。

賞品の提供方法については、等価交換規制がされていることは御承知のとおりでありますが、依然として、一部営業者においてはこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。

また、昨今、業界誌等においては、等価交換規制について、誤解を招く記載が散見されており、それにより、等価交換規制の遵守が徹底されない風潮が蔓延することを危惧しております。

風営適正化法における等価交換とは、営業者が客に対し賞品を提供する際には、客が遊技により得た遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品と交換をしなければならないということであります。

一方、業界誌等においては、「等価」という言葉が、必ずしもそのような意味合いで使われていないものがあると承知しております。風営適正化法における等価交換規制について、是非とも全国の営業者が誤解することのないよう、周知徹底をお願いしたいと思います。

昨年もこの講話の際に、前任の古谷から、市場価格に基づく適切な賞品提供の徹底について申し上げたと思いますが、いまだに風営適正化法が求める賞品提供方法について理解していない営業者がいるということは、非常に残念なことです。

賞品提供の現場においては、等価交換規制に反する賞品提供のほか、一般に日常生活の用に供すると考えられる物品が十分に取りそろえられていなかったり、その価格帯が社会通念に照らして余りに広く、市場性に強い疑問を持たざるを得ない賞品が置かれていたりする事例も見受けられます。

皆様には、風営適正化法の関係条文を改めて御確認いただき、遊技の結果に対する健全なおまけとして、適切な賞品を適切に提供していただきたいと思います。

次に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。

広告・宣伝等の規制については、一昨年の通知以降、表立って違反する事例は、全国的に相当数減ったという印象ではありますが、行政処分をしなければならないような違法な広告・宣伝等を行っている営業者が皆無となったわけではありません。営業所名の前に「出る」という文言を付けて射幸心をあおるものや、特定の遊技機の名称の後に「徹底強化」などといった文言を付けていわゆる出玉イベントを告知するものについて、いまだに行政処分の報告等が上がってきておりますし、新聞折り込みチラシと比較して目立ちにくいウェブサイトやブログ等で、隠語を用いていわゆる出玉イベントを告知する営業者も散見されるところです。また、表面的には、雑誌社が主催するライター等の取材イベント又はコンパニオン等の招致イベントと見せ掛けつつ、実際には、企画立案段階からぱちんこ営業者が主導して、実質的な出玉イベントを行おうとしているように疑われる例も把握しております。

広告・宣伝等の健全化に関しては、一般的には、広告・宣伝等の規制に抵触しない表示例も含めて方向性をお示し済みであると認識しており、また、いつまでも警察の指導取締りに頼るというような体質を改め、業界が自発的に、そして自立的に、違法行為を行う営業者を業界内部で抑え込むという成熟した産業になることを期待しております。
皆様には、広告・宣伝等の健全化を徹底することが、遊技機における射幸性の抑制と同様に、過度なのめり込み及びのめり込みに起因する犯罪等の防止という点で意義を有することを踏まえ、業界全体で広告・宣伝等の適正化が徹底されるよう取り組んでいただきたいと思います。

次に、ぱちんこ業界が取り組んでいる社会的活動についてお話しします。

全日遊連では、東日本大震災の被災地に向けた支援以外にも、全日遊連が中心となって設立された全日本社会貢献団体機構を通じるなどして、以前から、社会福祉を目的とした寄付や防犯活動、学術・文化活動への支援等、様々な形で社会貢献を続けているところであり、その業績に対し敬意を表したいと思います。

また、現在、ぱちんこ業界における地球温暖化防止対策として、全日遊連が策定した「低炭素社会実行計画」に基づき、ホールの電気使用量を抑えるための取組が行われていると承知しております。

東日本大震災に起因する電力需給のアンバランスは、いまだ十分に改善されていないことから、皆様には、引き続き、ぱちんこ営業における電力使用の在り方について、遊技機製造業者との連携の下で見直しを進め、省エネルギーを心掛けた営業形態を目指していただきたいと思います。

最後に、もう一つだけお願いを申し上げます。本日から、パブリックコメントを実施しているところでありますが、消費税の税率引き上げに伴い風営適正化法施行規則を一部改正し、本年4月1日に施行予定です。この改正に伴い業界において混乱が生じないよう、警察としては十分な広報を行う予定ですが、皆様におかれても、組合員等に対して、周知徹底を図っていただきますようお願いいたします。

ぱちんこ営業は、参加人口が減少したとは言え、なお1,000万人を超える非常に多くの方々が楽しんでいる大衆娯楽であります。ぱちんこ業界が目指すべき真の大衆娯楽というのは、国民に憩いと潤いを与えるということだと思います。その前提に立てば、ぱちんこ営業の基本は、射幸性を抑えた健全な遊技となることであると考えます。

当庁からの指導や要請は、業界が風営適正化法の規制を再認識し、遵守を徹底して、法に照らし非難を受けない健全な業態を確立していただきたいという観点によるものです。その意味で、不適切な営業実態を慣習として既得権益のように考える違法営業者については、警察として、一切手を緩めることなく取締りを進めていくつもりです。当庁としては、業界が進めている健全化の取組を後押しするとともに、遵法営業者同士による公正な競争環境の整備に努め、これにより善良の風俗を維持してまいりたいと考えております。

全国のぱちんこ営業所の9割以上が所属する全日遊連は、その一挙手一投足が業界内外の注目を集める存在であり、皆様の御尽力に期待するところが大きいと思っています。皆様におかれては、一組合員に至るまで一致団結して定められたルールを遵守し、他のホール関係団体とも緊密に連携を取って、今後とも、国民が安心して手軽に遊べる健全な娯楽を提供し、ぱちんこが真の娯楽として広く国民に評価されるよう、健全化に向けた努力を推進されることを期待しております。

結びに、貴連合会のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。

御静聴ありがとうございました。