一般社団法人ぱちんこ広告協議会(岡本克彦理事長)は12月8日、ソラシティカンファレンスセンター(東京・御茶ノ水)において、第9回社員総会ならびに第4回PAA広告大賞表彰式、記念セミナーを開催した。
岡本理事長が欠席のため、大島克俊理事が第9期の活動報告と第10期の活動方針を発表し、各事業のさらなる充実を図っていくとした。早くも10年目を迎えることから、特に広告・宣伝等の適正化に向け、他団体と連携を重ねていきたいと総会結果を報告。「ぱちんこ広告認証制度(仮)」(取材証明書システムの改修やホール関係4団体発出の広告宣伝ガイドラインの理解を深めた人材を育成するため、認証制度事業について)の検討、各プロジェクトのさらなる深化を進めていく方針とした。
記念セミナーは、(株)タイミー執行役員社長室の石橋孝宜室長が、「スポットワークがもたらす働き方の変化について」を講演。47都道府県で働けるスキマバイトアプリを提供する同社、新しい働き方である雇用型ギグワークを通して、より働きやすい環境づくり「いい職場しか人は雇えない」と伝えた。業界向けでは、スキマバイトマガジンで、お仕事紹介「パチンコ店のバイトはきつい?仕事内容やメリット、向いている人の特徴を解説」にまとめるほど、応募も多いとした。タイミーでは、地域との連携づくりに力を入れていると、地域の商店街が、働きたい人にとって、すべて職場対象になるという魅力づくりに取組んでいるとした。
第2部は、「推しパチの日・推しスロの日で新しいファンを増やす構想」について、ホール関係4団体広告宣伝検討会の一人である佐藤公治委員が、非遊技層へのアプローチ強化の重要性を訴えた。成人人口の「93%」がパチンコをしないというアンケート数値を示し、ファンを増やす努力の必要性。パチンコ広告宣伝の市場規模「839億円」(2024年・推計)、広告宣伝は成人人口7%に費やされているとした。パチンコ認知はマンネリ化、新規顧客への投資は消極的。そこで、認知・来店につながるようパチンコをしない層に向けて、「推し(おし)」の有効性に着目した。「お試しプレイ」の活用、「ホールでしか手に入らない限定賞品」「連れパチ」の価値観醸造など、様々な企画を寄せて欲しいとした。また、広告宣伝ガイドラインの適正運用についても意義と順守を呼びかけた。
第3部は「ぱちんこ産業広告動態調査2025年版(速報版)」が発表され、PAA参与であり東洋大学非常勤講師の柳井猛晶氏と(株)シーズの人首雄介氏から、現在のホール広告販促の実態(SNSへの移行期)と課題(力を入れているものとコストをかけるものとがかみ合っているだろうか・新規客づくりよりも目先の既存客集めの傾向)について詳説した。
■まとめ/2024年の広告販促活動は、前年より減少した。全体の半数の店舗で重要視するのは「SNS運用」。広くは来店取材の傾向。目的は、「新規客の獲得」との回答が多く、本音は「一時的でも稼働があがる」「イベントの時は来店が多い」など。集客目的は達成されているものの、その先は不透明。広告宣伝ガイドライン(第3版)では、認知9割。その受け止めで「一応遵守」(3割)。大手店舗との競合の中、やりづらい部分の中での受け止め反応。チェック管理体制では、店舗まかせが多いようで、まだまだ整理の余地あり。
その後、KIBUN PACHI-PACHI委員会との連携についても報告。まとめとして、柳井氏は、動態調査の意義について着実に理解が促せ、調査協力店舗の数が増えた点を挙げた。「ぱちんこ産業の広告」というものは多岐にわたってとらえられ、定義は難しい。KIBUN PACHI-PACHI委員会の広告戦略にみるように、はじめてホールに来る方に、また来店したくなる豊かな体験を提供できるよう、すべきことは多い。ただ、遊技者の遊技動機の半数近くはギャンブル(勝ち負け)的な目的、一方でレジャー(遊び)的な目的も半数近く。広告宣伝の役割と責務について再認識したい。
第4回となったPAA広告大賞表彰式では、102作品の中から選ばれたムービー部門、グラフィック部門などの各優秀賞を表彰した。グランプリは中田舞香さんの「あまやどり」が選ばれた。グラフィック部門は荒木正洋さんの「甦るワクワク」、ムービー部門は成田貴臣さんの「パチンコ気分。」、特別賞は杉本優奈さんの「こんなときでも、お父さんは考えている。」、協賛企業賞は荒木正洋さんの「甦るワクワク」が受賞した。
懇親会では、警察庁生活安全局保安課の小坂田潤課長補佐が保坂啓介保安課長のメッセージを代読。広告宣伝に関する信頼性・透明性に資する取組み等を評価し、業界の広告宣伝ガイドラインの自主規制、のめり込み対策への一層の取組みについて継続している中、「ギャンブル等依存症対策は、オンラインカジノ対策や大阪IR開業に向けた動きへの関心の高まりから、今後さらに世間の注目を集めることが予想される。2年後に予定されている基本計画変更を見据え、引き続き警察と業界団体が一体となった各種取組みを進めていく必要がある」として、さらなる健全化とコンプライアンスの徹底を中心となって進めて欲しいとした。

