全日遊連 全力を尽くせた2025年

全日本遊技事業協同組合連合会(阿部恭久理事長)は11月19日、第一ホテル東京において、定例理事会を開催。その後、阿部理事長、千原行喜副理事長、太田裕之専務理事が記者会見を開催した。

令和7年の総括として、業界として正念場の年であり、全力を尽くしたと阿部理事長は振り返った。そして、IR(カジノ)開業までに依存対策含めた「遊技」としてのパチンコを国民に広く認知してもらうことが重要(急務)と述べていた。

【主な質疑について】
■お試しプレイ(0円貸玉)の検討状況/初心者が気軽に遊技できる環境を整え、新たなファン獲得を図ることを目的として、実施可能日(制限等)、設置台数の制限、お試しプレイを使った簡易分煙の制限、玉・メダルの混合防止、年少者対応の徹底などホール関係4団体で検討が続けられている。設置台数について20台という制限について、「20台というのは意見がある。ただし、大型店と中小店では、比率が違うため、もう少し検討しなければならない。12月末に実施したいという他団体の意見もあるが、もう少し検討の余地があり、来年4月位までにはまとめたいが、まだまだ検討しなければいけない」と阿部理事長。
■依存対策について/本年は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画が更新、9月にギャンブル等依存症対策基本法が改正された1年だった。今後、大阪IR開業を控え社会的関心が高まる中、パチンコ業界の依存対策はさらに注目されることが予想される。阿部理事長は、「IR(カジノ)開業は2030年を目指しているが、パチンコ業界はそのことも視野に入れて、少なくともこの2~3年を目途に、業界の依存対策の姿勢を国民に向けて示さなければならない」とした。
■一部でパチンコ遊技におけるキャッシュレスの動きがあったことについて/今春にギャンブル等依存症対策推進基本計画(令和7年3月21日閣議決定)が更新され、ギャンブル等におけるキャッシュレスのあり方が問われている状況。キャッシュレスは時代のすう勢ではあるが、クレジットカードによるギャンブル等の取扱いには、慎重な対応が必要と阿部理事長。「公営ギャンブルではオンライン投票が既に行われているからといってギャンブル等依存症対策推進関係者会議において、慎重な対応の流れになっている。パチンコもキャッシュレスにしようということは、もう少し慎重に対応しなければいけない」と、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議(内閣官房)の委員を務めていた阿部理事長の考え。
■第27回参議院選挙に全国比例で出馬し、落選した件を含めた総括について/「業界としてやるべきことに対応できた1年だった」と阿部理事長。令和8年に向けては、「やはり2030年IR(カジノ)開業との差別化を急がなければならない」と述べた。カジノとパチンコは、公営ギャンブルとは違い民営という共通点がある。カジノは国策とはいえギャンブル。パチンコは、風適法による許可営業「遊技」という違いがある。「ギャンブルと遊技の違いを国民の方々に認識いただけるようにしなければならない」(阿部理事長)。
〇政治との関わり方について/これまで通り、自由民主党遊技産業議員連盟(田中和德会長)と様々な要望や助言をいただけるように努めていく。風適法改正について(令和7年6月)は、悪質ホストクラブ対策等に関するものであった。阿部理事長は業界としての私案として、「遊技関係、接客業種、届出営業とは区別した法体系にして欲しいと思っている。こういったことは行政に要望するよりも、議員連盟の先生方に説明して対応していただく方がよいと思っている。そうしたことから、私自身何ができるのかということで、今夏立候補したところです」と述べた。これに加えて、千原副理事長(全日本遊技産業政治連盟・副会長)は、「12月3日職域支部連絡会で総括を踏まえて、今後の活動について方向性を示していきたい」と今後の活動に意欲を示した。全日遊連のスタンスとして、協同組合の団体ではあるが、許可営業であるところから、健全な組合活動に関しての政治的な要望等は当然取組んでいくとした。
〇落選した敗因について/「今回の選挙では、自民党に対する厳しい逆風だったと思います。そのことが票が伸びなかった敗因だと思う。今回、選挙の争点として賃金アップというものがあったが、ホール営業において賃金アップは難しい。物価は高く、遊技機も高止まり、人件費、光熱費、ファン人口も減少しており、賃金を上げることはできないのが実情。そうした身近な現実が政権与党への不満として大きかったのはないだろうか。一方で、これまで以上に業界は連携できたと思いますし、手応えもあった。」(阿部理事長)。

【決議案件】
①2026年度第36回全国パチンコ・パチスロファン感謝デーにおける幹事商社の選定について/(株)そごう・西武に選定
②2027年度「春のパチパチファン感謝デー」の実施について/2027年5月21日~23日開催することで承認
③2026年度全日遊連の賦課金・健全化推進機構特別会費及び全日遊連の会費・特別会費の算定基準について
【報告事項】
①パチンコ・パチスロ依存問題への対応について(依存対策実施状況の回答状況、パチンコ・パチスロ依存問題基礎講座の活用)
②ホール関係4団体広告宣伝検討会の開催(10月19日、11月13日)結果について(投稿数4830件(2025年10月末)中、1482件に是正勧告)
③推進機構の定例理事会(11月10日)及び臨時社員総会の開催結果について
④日電協と全日遊連との定期連絡協議会の開催(11月18日)結果について
⑤2025年度上半期各都道府県組合による「立入検査実施状況」及び「パチンコ・パチスロ健全化ネット投稿状況」について
⑥2024年度分ホールにおける使用済み遊技機の排出先等実態調査結果について
⑦機械対策委員会からの報告について
⑧2026年パチンコ・パチスロ産業賀詞交歓会(2026年1月27日)の概要
⑨風適法改正に伴う各種規定等の改正に関する組合員への周知のお願いについて
⑩その他 組合加盟店舗の調査結果について
・2025年11月19日時点での全日遊連加盟パチンコホールの営業店舗数は、前月比10店舗減の5807店舗。新規店舗数は3店舗、廃業店舗数は15店舗、休業店舗数は71店舗(当月中に休業した店舗は6店舗)。遊技機の設置台数、パチンコが173万7505台、パチスロは125万3974台、合計299万1479台。

全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)